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霊視解決録

第一回 プロポーズに迷う彼女と元彼の本心は

霊能者明牡丹(あけぼたん)霊能者

「結婚のことでご相談があるのですが・・・」
消え入りそうなか細い声でお電話をくださったのは30才のS美さん。電話がつながってすぐ、彼女の不安でいっぱいな気持ちが霊波動を通じて伝わってきました。続いて、ウェディングドレスを着てキョロキョロと不安げに誰かを探すような素振りをするS美さんの姿が視えたのです。タキシードを着た背の高い男性が手を差し伸べているのに、彼女はその手を取ろうとしません。続いて、小さな声も聴こえました。「わからない。このまま結婚していいのかしら?私の生涯のパートナーは本当にこの人なの?3年前に別れたあの人のことを吹っ切れるの?」そこで私は黙り込んでしまったS美さんにこう語りかけたのです。「3年前に別れた男性のことが心に残っていて、今プロポーズされている人との結婚を迷っているんですね」電話の向こうで息を呑む気配がしました。「なぜわかるんですか?」「ウェディングドレスを着て、相手を探している貴女が視えます。手を差し伸べている背の高い男性を拒んでいることも」「そ、そんなことまでわかるんですね。そうなんです。結婚を考えるほど深い仲の彼がいるのにも関わらず、3年前に別れた元彼のことがどうしても忘れられなくて。でも、その人が今どこでどうしているかもわからないんです」「その方の行方を探したいということですね」あらためて確認すると、S美さんは声を大きくして言いました。「一度会って自分の気持ちを確かめたいんです。面影に恋しているだけで、実際に会ったら何とも思わないか、それともやっぱり好きだと思うか・・・。そもそも彼の方で私を相手にしてくれるかもわかりませんよね」 私はS美さんの言葉を胸に刻み込みながら、念を集中させました。最初は靄のようにかすんではっきりしなかった人影が、だんだん輪郭を見せ始めました。がっしりとした体格で髪を短く刈り込んだ男性がカメラのシャッターを構えているのが視えます。視線の先にはライオンやシマウマが視えるではありませんか。ここはどうもジャングルのようです。さらに霊視を進めると、彼がフリーのカメラマンとして活躍し、国内外を飛び回っていることがわかりました。そして今は写真集の撮影のため、アフリカのジャングルに滞在しているのです。(これではS美さんと再会させるのは難しいかもしれない・・・)思わずため息をつきながら、私は自分で編み出した独自の呪文を唱え、彼の心の中を霊視しました。すると、そこにはまぎれもなくS美さんの姿があったのです。彼と並んで座り、幸せそうに微笑む彼女の笑顔。私はこれまでの霊視で、S美さんがこれほど幸せそうに微笑む顔を視たことがありませんでした。やがて彼の低く太い声が聴こえてきました。「S美、元気にしているか?オレは君を失った悲しみを仕事にぶつけ、カメラマンとして評価されるようになってきた。でも、オレは世間のどんな評価より、金より、君がほしい。もう一度君をこの胸に抱きたい」私の内部では彼の想いとS美さんの想いとが絡み合って、堰を切ったように涙があふれてきました。こんなに想い合っている二人を結ばせてあげなくては。そう使命感に駆られた私は彼の霊視を続け、帰国する日時と飛行機の便まで霊視することに成功したのです。S美さんから約束の時間に電話がかかってきた時、私はすべてを話しました。そして、こうアドバイスしたのです。「自分の気持ちに正直になって。彼も必ず応えてくれる。今言った時間の飛行機を空港で待ちなさい。彼は赤いTシャツを着て帰るわ。そんな特徴がなくても、貴女にはすぐ彼がわかるわね」最後は冗談めかしてそう言うと、初めてS美さんが笑いました。

S美さんからお手紙が送られてきたのは、それから半年後のことでした。彼女はウエディングドレスを着てカメラマンの彼と寄り添い、それはそれは幸せそうに微笑んでいました。添えらえたお手紙にはこう書いてありました。
「すべては明牡丹霊能者のおかげです。先生が様々な真実を霊視してくださったおかげで、私たち幸せになれました。ありがとうございます!」

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